その情景を見た時、僕は、胸が熱くなった。
TOHOシネマズ新宿の入口。
エスカレーター前にある「Now Showing」の掲示だ。
TOHOシネマズ新宿は、都内でも有数の大規模シネコンで、12ものスクリーンを有している。
MX4D,IMAX,TCX,DOLBY ATMOSなど、各種技術にも対応。大スクリーンも多く、映画の面白さを堪能できる大劇場となっている。
そんなTOHOシネマズ新宿では、先週の土曜日も、沢山の映画が上映されていた。
ただ、入口の「Now Showing」枠は数点しかないため、そこに掲示されるのは、選ばれし映画だけ。
僕がそれを眺めた時、まず目についたのは、「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」だった。
前日公開になったばかりの大作だから、これが表示されるのは当然のことだろう。
僕も、この日は、まさにその映画を見に行ったのだ。
ただ、驚いたのは、その隣。
「M:I 6 フォールアウト」に並んで、「カメラを止めるな!」が掲示されていることだった。
TOHOシネマズ新宿において、この映画の公開が始まったのは、「MI:6 フォールアウト」と同日の8月3日。
だから、同劇場にとっては、単に《新作》ということで並んでいただけなのかもしれないが、それにしても、僕は、感慨を覚えずにいられなかった。
日本全国、300カ所以上で一斉に公開が始まった大作中の大作である「M:I 6 フォールアウト」。
それに対し、「カメラを止めるな!」は、新作でも何でもない。
この映画は、「M:I 6 フォールアウト」に先駆けること40日前の6月23日に、たった2館(池袋シネマ・ロサ、新宿k's cinema)のミニシアターで、ひっそりと公開が始まっていたのだ。
僕も、しばらくその存在に気がついていなかったが、映画好きの友人に大推奨されて、7月中旬に鑑賞。
とにかく面白くて、面白くて、その数日後にも、再度鑑賞。
さらには…。
特別イベントとして実施された、《絶叫ナイト!》にも参加し、その感動を噛みしめた。
見た人を次から次へと虜にしてしまう映画だから、話題にならないわけがない。噂が噂を呼び、マスコミにも取り上げられたこともあって、大ブレイク。
ついに、TOHOシネマズにまで進出したのだ。胸が熱くならずにいられるものか。
TOHOシネマズグループでは、新宿に限らず、この映画を全面的に取り上げており、新宿以上の大規模を誇る日比谷では、このようなイベントも実施されている。
全国124館への拡大公開を記念した舞台挨拶だ。
オンラインで発売されたチケットは、たった数分(!)で、いっぱいになってしまったほどの盛況ぶりだった。
いやはや、本当に凄い。凄すぎる。
「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」の制作費は、$1.78億にもなるという。
日本円では約200億円となる、まさに超、超、超大作だ。
それに対し、「カメラを止めるな!」の制作費は、たった300万円だという。
制作費200億円の映画と、300万円の映画が並んで上映されている!
そう考えると、あらためて、「カメラを止めるな!」の凄さ、素晴らしさを感じずにはいられない。
単純に、金額だけを並べて比較するのは間違いだとわかっている。
この2つの映画は、完全にベクトルが違う。いわば真逆だ。
「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」は制作費がかかって当然のストーリーになっているし、かけなければ、物語が成り立たない。
あの壮大なスケールと興奮、感動を実現するためには、それなりの予算が必要で、全世界での公開ということも踏まえれば、十分に制作費ぶんの価値があるものだろう。
だからもちろん、「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」より「カメラを止めるな!」が優れているという意味じゃない。
ただ…。
- たった300万円の制作費であっても、いい映画を作ることはできる!
- 「M:I 6 フォールアウト」と並べて、大きく宣伝してもらえる!
というのは、本当に素晴らしいことだと思った。
「カメラを止めるな!」は、少ない予算で映画製作に携わっている人たちにとって、大きな希望を与えてくれる作品にもなったのではなかろうか。
amazonミュージックでは、主題歌である「Keep Rolling」だけではなく、このメインテーマも聞くことができる。
ただ、どんな風に呼びかけても、アレクサは、このタイトルをうまく聞き取ってくれないんだよなぁ…。