あぁぁーーっ!と、僕は思わず声が出た。
惜しい、本当に惜しい。なんという結末なんだ、これは。
川内優輝、日本代表ラストランとなる世界陸上。
残り数キロで順位をぐんぐん上げ、8位の選手を捉える直前…だったのに、たった3秒足りなかった。
フィニッシュ後、倒れ込んだ川内の姿を見て、僕は涙が出そうになった。
その後、苦悶の表情を浮かべて、車椅子へ。
自己の能力限界を超え、全身全霊を注いで駆け抜けた結果なのだ、これは。
こんな選手、他にいない。
勝負事にタラレバが禁句であることはわかっているけれど、途中の転倒でリズムを崩していなければ、給水失敗がなければ、せめてあと500mあれば、きっと…と思わずにいられない。
これで本当に、日本代表引退なのだろうか。もう、世界を相手に日本代表として戦う姿が見られないのか。
そう思うと、どうにもこうにも切なくなる。
今回、日本代表として結果を出すべく、精も根も尽き果てるほどのつらい思いをしただろう。こんな思いは、もう味わいたくないかもしれない。それはわかる。
しかし、あと3秒まで迫った悔しさを、リベンジしたいという思いに繋がってはくれまいか。
中継の途中、彼の弟たちのコメントとして「お兄ちゃんは、言うことがコロコロ変わる」と紹介されていたことが一縷の望み。
2年後のドーハ世界陸上、そして3年後に控える東京オリンピックでも、川内の姿を見たい。
きっとリベンジできる筈の、魂の走りを。