ベルリンからの帰国翌日、僕は近所の整形外科へ出かけた。
出国前に受けたMRI検査の結果を聞くためだ。
休暇後だったため、仕事は沢山溜まっていたのだけれど、その日はノー残業デー。
ということで、業務は翌日の早朝に回して何とか退勤。診察時刻に間に合った。
その整形外科は、とてもわかりやすく丁寧な診察で人気がある。
僕は、練習中の転倒などで怪我をした際に、何度もお世話になっている馴染みで、僕がランニング好きなことも、先生は熟知している。
ただ…。
それだけに、いつもとても混んでいて、この日も1時間以上待たされた。
待合室で、味気ないテレビ番組を眺めながら、待つこと1時間超。
僕は、足の治療を受けにきているのに、長時間の座位で足が痺れて痛くなってきた。なんとも皮肉だ。
午後8時過ぎ。
もう、受付はとっくに終了しており、他の患者が誰もいなくなった頃、ようやく、僕の名前がコールされた。
診察室の中には、僕のMRI撮影写真が大きく映し出された画面があり、それを見ながら、先生は僕にこう話しかけた。
「痛みの具合はどうですか?元気な時を10とすれば、今はいくつぐらいですか?」
僕は、まだベルリンマラソンの疲れが残っていたが、それは流石に言えなかった。患者としては、不適切な態度(医師に正確な情報を伝えていない)とわかっていたけれど、やっぱり無理だった。
ただ、座骨神経痛の診断を受けて以来、ベルリン以外では全く走っていないので、それはあくまで例外と考え、日本での日常生活を踏まえて、こう答えた。
「5か6ぐらい…。歩く分には全く問題ないですし、日常的に痛みも出ませんので…。」
帰国時のロングフライトでは、長時間の座位が続き、本当につらかった(正直、マラソンよりもつらかった)が、それもあくまで例外と、自分勝手に解釈した。
そんな僕の、心の中の葛藤を知らない先生は、少しホッとしたような笑みを浮かべながら、次のように話を繋いだ。
「MRIの結果では、ヘルニアなどの大きな問題は見られませんでした。腰椎の一部が変形しているようですが、日常的に痛みがないようであれば、しばらく経過観察で良いと思います。」
そして…。
「長時間、同じ姿勢で座っているのが一番よくありませんので、できるだけ動いて、少し走ってみるのも身体にいいと思いますよ。」
と。
先生は、ランニング好きの僕が、走れなくて悲しんでいるものと思い、そう言ってくれたのだと思う。
思えば、最初の診断時から、軽いジョグならば大丈夫と言われていたのだけれど、今回は、正式なMRI結果を受けてのものだから心強い。
僕は、心の中で、「数日前にフルマラソンを走ってきました。先生ごめんなさい!」と叫びつつ、でも、先生から、正式な許可が出たことがやはり嬉しかった。
診察時、先生からもらったMRIの画像診断結果。
「変形性腰椎症」という病名に、少し驚いてしまったが、Webなどで調べてみると、それほど重たい症状ではないようだ。
腰の筋力を鍛えるべく、運動療法というものも推奨されており、動かないままの姿勢でいるよりは、確かに、少し走った方がいいのかもしれない。
現段階でフルマラソンというのは、やはりちょっと行き過ぎだとは思うのだけれど、地道に、できる範囲で走っていくのは悪くない。
ということで、今日、僕は、久しぶりに近所を走ってみた。
ベルリンマラソンでも着た「はてブロTシャツ」で、久しぶりの夜明け前ラン!
スピードを出すと、やっぱりちょっと痛むので、軽めに、ゆったりのんびりジョグ。
とっても涼しくて気持ちよかったし、だんだん明けていく空が最高だった。
まだ、症状が完治したわけではないので、無理はできないけれど、とりあえず、「走る」ことが身体にマイナスでないというのは、非常に嬉しい。
最大にして最高の目標レース、東京マラソンまで、ゆったり身体を整えていきたい。
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