餃子ランナーは電子機器の夢を見るか?

ランと餃子とデジタルガジェット。ときどき、映画や雑誌の話。言いたいことを言い捨てるブログ。

ランと餃子とデジタルガジェット。ときどき、映画や将棋の話。言いたいことを言い捨てるブログ。

スポンサーリンク

一気読み必至の驚愕ミステリ「ルビンの壺が割れた」(新潮社)が無料配信中!!

スポンサーリンク

ミステリ好きなら、とにかく、「今」読んで欲しい、としか言えない。

僕は、昨晩から読み出したら止まらず、あっという間に読み切ってしまった。僕の拙い感想は後述するけれど、今、読んで欲しいと思う理由はひとつ。

このミステリは、文芸書の雄である、新潮社の担当編集者をして、「すごい小説」と言わしめるもの。

それが、今ならなんと無料で読めるからだ。

f:id:ICHIZO:20170716150417p:plain

《担当編集者からお願い》「すごい小説」刊行します。キャッチコピーを代わりに書いてください! 『ルビンの壺が割れた』 | 新潮社

タイトルは、「ルビンの壺が割れた」。

ルビンの壺、とはトリックアートのひとつで、上記の画像がそれにあたる。

画像の白い部分を眺めると、「壺」にしか見えないのだけれど、視点を変えて、黒い部分に着目すると、「二人の人間」が向かい合っているように見えるという、有名な画像だ。

この小説が、なぜ、その「ルビンの壺が割れた」というタイトルになっているのかについては、ネタバレになるので、ここには書けないのだけれど、でも、この小説内容に相応しいものであることだけは間違いない。

メインとして使われている理由以外にも、さまざまな深読みが可能。実に魅力的で巧いタイトルだなぁと思う。

このミステリの作者は宿野かほる氏。僕は、全く聞いたことがない名前だった。男性か女性かもわからない。

それもその筈、新潮社担当者曰く…。

ここに公開するのは、ある日突然送られてきた、まったく名前の知られていない著者による、刊行前の小説です。
ものすごく面白く、そして、ものすごく奇怪な小説でした。

あまりに凄すぎて、この作品にふさわしいキャッチコピーを書けなかったため、キャンペーンとして、すごいコピーを書いてもらうため、皆に公開した、とのことだったからだ。

以下からお読みいただける〈キャンペーン版〉は、2017年8月22日に刊行予定の本を2週間限定で事前公開するものです。
よって、まだ修正途中の原稿であり、2週間が経つと消えてしまうものであることをご了承ください。

7月14日から7月27日まで、2週間限定での公開。

キャンペーンページのWebサイトには、この他、様々な注意書きも書かれている。

(ただし結末は絶対に明かさないでください)

〈ご注意〉本作品の全部または一部を、無断で複製(コピー)、転載、改ざん、公衆送信(ホームページなどに掲載することを含む)することを禁じます。

ということなので、それに気をつけて、簡単に、僕なりの感想を書かせていただく。

ストーリーは、2人の人物による往復書簡形式(正式にはfacebookでのメッセンジャーのやりとり)で進む。

往復書簡形式でのミステリは、珍しいものではないけれど、facebookから始まる手法が、ちょっと新しい気がする。

物語は、30年以上前の出来事(主人公たちの学生時代)の回想と、現在を行ったり来たりしながら進む。

当時は、facebookなどのSNSはおろか、インターネットさえも存在しないから、ふたつの時代のギャップが大きい。そして、そのギャップも、この小説のひとつの鍵になる。

主人公の男性は、僕とほぼ同年齢の50代で、僕も、今はfacebookを使っているため、そんな自分の現状と、大学時代の心境を思い出しながら読み進んだ。

ただ、30年前の回想と言っても、昭和テイストが溢れているというわけではないので、僕より若い、例えば「平成」世代でも、十分楽しめる。

往復書簡形式が、手紙、ではなく、facebookのメッセンジャーのやりとりであるのも重要なポイント。それを生かした仕掛け(?)と言えるような手法も取り入れられている。

実際にfacebookをやっている人ならイメージがつきやすい筈だし、そうでなくても、facebookの仕組みを少しでも知っていれば問題なく読み進め、理解することができると思う。

とにかく非常に読みやすい文体で、読み出したら止まらないのが特徴。

後半は、書簡1通ごとに、衝撃の展開が畳みかけるように襲ってくる。この展開には賛否両論あるようで、僕も、ちょっと釈然としない部分は感じた。Twitterなどでは批判的なレビューも結構上がっている。

しかし、それも含めて、僕は新潮社の戦略勝ちではないかと思っている。

もしも、この本が普通に発売されていたら、無名の著者と言うこともあり、いかに新潮社がプッシュしようと、購入に繋がらず、ひっそりと消えていた可能性が高いからだ。

《賛否両論》を発生させるためには、とりあえず、読んでもらわないと始まらない。

だから、まずは無料で公開し、その反響を踏まえて、「紙の」書籍を発売するという戦略は素晴らしいと思う。

そして、そのキャンペーンコピーを、Twitterで受け付けるというのが、時代に乗っている。Twitterは、反響が最も拡散しやすいツールだからだ。

読後の批判的なツイートも、すべて、新潮社の掌の上。まさに、インターネット、SNS、電子書籍の時代ならではのプロモーションだなぁと思う。

今後は、こういった戦略での販売方式が増えてくるのではなかろうか。

この本が「書籍」として発売された後、ベストセラーになった時、大きく潮目が変わりそうな気がする。

とりあえず、まずは、読んで欲しい。

新潮社のキャンペーンサイトでは全文公開されているが、それ以外にも、各社の電子書籍サイトでは、ダウンロードして読むことが可能なので、非常に簡単、オススメだ。

ルビンの壺が割れた《キャンペーン版》期間限定無料

ルビンの壺が割れた《キャンペーン版》期間限定無料

 

僕は今、二巡目を読んでいるのだけれど、違った情景が見えてきて、ちょっとゾクゾクしている。

単行本化された時は、何だか「別の仕掛け」もあるような気がするので、来月発売される書籍版も是非読んでみたいと思う。

さぁ、これからキャッチコピーを考えよう(^^;


マラソン・ジョギングランキングへ