思ったよりも、回復が早かった。
今日の午前中。ちょっとした所用で、駅に向かって急いでいた時、いつの間にか走っている自分に気がついた。
かなりスピードを上げていたはずなのに、肋骨が、痛くない!のだ。
そういえば、今朝は、ベッドから起き上がるときに痛みを感じなかった。
別大マラソン以降、肋骨の痛みに悩まされていて、痛みが日常的になり、走らない生活にも慣れてきていたので、急な変化に気がつかなかった。
しかし、気がついたとたん、僕は本当に嬉しくなった。だって、ランニングできるじゃないか!
しかも、今日の東京地方は、絶好の好天。身体がよくなって、こんな天気なのに、走らない手はない!
ということで、午後。
僕は、1週間ぶりのランに繰り出すべく、準備を始めた。
ウェア装備完了。シューズも玄関に用意。あとは、ウェストポーチの「RUNFIT」に、iPhone、デジカメ、鍵を入れて家を出るだけ。
…と、思って、準備を進めていたら、僕は衝撃の事実に気がついた。
ない。ない!デジカメがないっ!!
半年前に買ったばかりの、このコンデジが見当たらなくなっていたのだ。
まさか。嘘だろ…。と、思った。
しかし、遠征時のカバン、会社用のカバン、家の中各所のめぼしいところは、一通り探してみたのだけれど、どうしても発見できなかった。
そう言えば…。と僕は、思い返してみた。
別府から東京に戻って以来、僕は、このデジカメを1度も使っていないことに気がついた。
別府においても、今回の旅程では、iPhoneを中心に撮影していたので、このデジカメの出番はほとんどなかったのだが、レース後の夜までは、絶対に持っていた。
なぜなら…。
打ち上げ帰りの大分駅から見上げた、上弦の月に感動し、この写真をSNSにアップしているからだ。
iPhoneのズームでは、ここまで月に寄ることはできないため、デジカメで撮ったことは間違いなかった。
しかし、この画像を最後に、今日の今日まで、デジカメで撮った記憶も写真も残っていなかった。
ということは…。僕は戦慄した。
去年、フィニッシャータオルを忘れてしまった別府に、また、忘れ物をしてしまったのではないか…。
今年、フィニッシャータオルは(不本意な形ながら)確保できたものの、デジカメを失ってしまったとなれば、その痛手は、大きすぎる。
それも、1週間たってから気がつくなんて…。今更気がついて探したとしても、もはや手遅れ。バカすぎる。僕は大いに落ち込んだ。
普段の僕であれば、デジカメ紛失に、すぐ気がついている筈だった。
日課にしていた夜明け前ランで、必ず携帯して走っているし、飲み会イベントなどがあれば、料理写真を撮っているからだ。
しかし。
レース後、肋骨の痛みが出たため、夜明け前ランは休止。今週は、イベントなどもなかったため、料理の写真を撮ることもなかった。
ということで、気がつくのがこんなに遅れてしまった。無念だ。
しかし、まだ、諦めていたわけではなかった。
レース後の夜まで携帯していたということは、外で落とした可能性は低い。帰りの飛行機の中でも使った記憶がない。
…ということは、限りなく、ホテルに忘れた可能性が高い、と思ったのだ。
そういった意味で言うと、去年、フィニッシュ会場でタオルを失ったケースよりは、まだ希望が持てる気がした。
ホテルの部屋を出るときは、去年の轍を踏まないように、何度も何度も、忘れ物がないか確認したから、部屋の中に忘れた可能性は、限りなく低いと思う。
しかし、もしかすると、朝食を食べるときに、料理の写真をデジカメで撮ったのではなかったか。
そして、食堂に置き忘れてしまった可能性はあるまいか。
僕は、その可能性に一縷の望みをかけて、ホテルに連絡をとってみた。
そこで、ちょっと意外な回答が返ってくるとは、思いもよらずに。