劇場公開を、心待ちにしていた映画だった。
もともとは見る予定がなかった「スティーブ・ジョブズ」「キャロル」が、望外の面白さだったため、この映画には、それ以上の期待をしていた。
僕は、最近になってこのシリーズの面白さを知ったため、TVシリーズは、まだシーズン2の途中、第5作目までしか鑑賞していなかった。これまでのシリーズは、全9作、シーズン3まであったので、まだまだ半ばと言える段階だった。
だから、映画館に出かける前に、シリーズ全篇を見ておくべきだったのかもしれない。
ただ、劇場版の設定は、1895年のロンドンということだったし、21世紀のロンドンが舞台となるTVシリーズとはまた違った面白さがあるだろうと思った。
しかし、これが大きな間違いだったのだ。
上映開始後、ストーリーに酔いしれようと思ったら、いきなり、関係者による裏話からスタート。シャーロックマニアにとってはそれが面白いのかもしれないが、僕は、少し興醒めだった。
ようやく本編が始まって、さぁ、1895年のシャーロックに酔いしれようと思ったら、実は…。
ネタバレになってしまうので、これ以上は書かないけれど、今回の設定が1895年であろうがなかろうが、これは、あくまで「現代版シャーロック」だった。
シリーズ全篇を見おわってしまって、飢餓感を感じているマニア向けの、いわば、オマケ的なエピソード。ボーナストラックのようなものだったのだ。
それもその筈、そもそもこの作品は、劇場用に作られたものではなく、本国イギリスでは、「特別編」として今年の元旦に放映されたもの。確かに、新年の特別番組として、家で見たならば、「こんなネタもありだなぁ」と思ったかもしれない。
だから僕は、本編公開後に流れた特典映像(20分間)も含め、違和感を感じてしまった。映画の余韻に浸る暇もなかったからだ。
シャーロックマニアの人にとっては、きっと、その特典映像も含めて貴重な内容だったのだろう。
ただ、シリーズ全篇も制覇せずに、この映画に臨んだ僕は、あまりにも無防備だった。この作品では、過去作品のネタも随所に登場するため、僕がまだ見ていないシーズン3のネタもわかってしまった。
無念…。