準備は万全、だと思っていた。
今回の旅に必要なものはすべてチェックリストに書き出していて、ボストンバックや小物、衣類などは、先週の日曜日に、集荷宅配で引き渡し済。
あとは、当日、身軽なスタイルで旅立てばいい、だけの筈だった。
おととしのNY以来、2年ぶりの海外遠征。シルバーウィークも休日出勤ばかりでつらかったけれど、この旅行があるから、頑張れた。
休暇をもらう前日、おとといの水曜日は、やっぱり仕事が忙しく、10時すぎまでかかってしまったけれど、何とか乗り切って、バタバタで退社。思えば、これが失敗の始まりだった。
昨日も、いつものように夜明け前に目が覚めたため、夜明けランを行って、猫にも挨拶。
朝食をとり、あとは、チェックリストで残っているグッズをショルダーバッグに詰め込んで出発するだけ。
空港のラウンジでゆったりしよう…と思いながら、最終確認をしていると、「当然あるべきもの」が見つからないことに気がついた。
iPad。長旅…特に、海外旅行には不可欠の電子機器がない!
僕はさまざまな電子機器、タブレットやスマートフォンを持っているけれど、日常は、iPhoneとBlackberryさえあれば事足りるケースが多い。
ただ、ちょっとした旅、特に海外遠征においては、俄然、iPadの存在価値が増す。
大きな画面は、フライト中につらつらと眺めるには最高だし、動画も沢山入っているので、退屈せずに済む。
旅先で必要なものは、PDF化して納めておけば、ペーパーレスで、かつ安心。ホテルでのバウチャー提示なども、画面を示せばいいだけなので、とても楽。
僕のiPadはSIMフリータイプだから使い勝手もいい。とにかく海外遠征には欠かせない電子機器なのだ。
だから、何をおいても重要な筈、だったのだけど…。
iPad Air 2については、日常、欠かさず持ち歩いているため、直前まで、特に意識してチェックしていなかった。
もちろん、旅行前日だって、会社でも普通に使っている。それが、なぜ、見つからないのだ。
僕は大いに焦った。
バタバタと家じゅうを探し回り、やっぱりどうしても見つからないことに気がつき、そして、ハタとその原因が思い当たった。
会社だ!
その前夜は、終日忙殺されて、夜遅くにバタバタと会社を出たので、最後は、ファイル資料などを慌てて片付けた記憶がある。
iPadは、その資料の上に置いていた記憶があるので、資料の間に挟まって、そのまま会社に残っているのではあるまいか。
iPad Air 2は、とても薄いため、これまでもさりげなく資料の間に挟まってしまっていたことがあった。
今回もそうに違いない。いや、もう、そうに決まった。
僕は、そう思ったら、もう、会社へ取りにいくしかないと思い立った。
フライト時間は11時過ぎだったので、あまり余裕はなかったけれど、急げば間に合う!
ということで、会社経由で空港へ向かうことに決めた。家から駅まで、駅から会社までの道のりは走りっぱなし。
もう通勤時間帯に入っていたため、同僚とも何人かすれ違った。
私服で、かつ、猛ダッシュしている僕に「いったいどうした?」というよう表情をされたのだけれど、それに応えている暇はなかった。
僕のタスクはただひとつ。職場に忘れている筈のiPadを確保して、すぐさま空港に向かうこと。それだけだったからだ。
いざ、職場へ。
まだ早朝だったため、閑散とはしていたが、すでに上司は出勤済。僕はちょっとバツが悪い気分になり、「忘れ物をしました。申し訳ありません」と告げ、自分の席の資料回りを探した。
ところが…ない。見つからない!
僕は、当然あると思っていたので愕然とし、何度も何度も同じところ、そして、あらゆる引き出しや机の下までも確認した。
しかし…やっぱり見つからなかった。
僕は、どう考えてもおかしいと思いながら、しかし、フライトまでの時間を考えると、あまり猶予がなかったので、会社を出ることにした。
ドタバタと、空港に行く前に無理やり寄ったのに、完全な徒労だ。
出発2時間前、成田空港に到着。チェックインを済ませ、ラウンジで一息ついていたら、同僚からメールが届いた。曰く…。
「タブレットが、〇〇さんの机の上に、資料と一緒においてありました。机の引き出しの中に入れておきますね。」との旨。
なんと…!
旅の前日、バタバタを資料を片付けて退社する際、別の机の上に仮置きしていたことを、すっかり忘れていた。
あまりに多量の資料だったので、自分の机の上だけでは整理できなかったのだ。
その資料の中に紛れ込んでいたとは…。
会社で探したときは、自分の机回りだけしか探さなかったので、僕はまったくそれに気がつかなかった。すぐそばにあったのに!痛恨だ。痛恨すぎる。
しかし、もう、悔やんでも始まらない。
ただ、僕は、iPadの紛失も危惧していたので、とりあえずは、発見されたことにほっとした。
海外遠征で最良の相棒なしでの旅は無念だけれど、他の電子機器たちに頑張ってもらおうと思う。
今回帯同してきたデバイスたち。
タブレットとしては、WINタブのMiix 2があるのだけれど、あまり使い勝手がよくないんだよなぁ…。