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福井江太郎とのコラボ絵本で、再び戦慄した「駝鳥」(筒井康隆)の凄さ

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オビの惹句はダテじゃない。
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これはまさに、「だれも、目を離せない」「衝撃の新絵本」だ。
9月7日発売と告知されていたが、一般書籍の場合、大手書店では公式発売日よりも早期に入手出来るのが常。
出版元である六耀社のつぶやきからも、それは明らかだったため、週末にゲット。
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特典?として、ポストカードも付属*1していた。
大胆で斬新な駝鳥の絵。今回、絵本化にあたって、あらためてこの名作を読んだのだけれど、その後で、この表紙絵を眺めてみると、恐さに震える。
この短編は、もう、数え切れないぐらい読んでいるのに、それでも怖かった。それほど、福井江太郎の駝鳥絵は素晴らしい。
僕が初めて、「駝鳥」を読んだのは、もう、数十年前のこと。
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「欠陥大百科」という単行本に、それはさりげなく収録されていた。
この本は、百科事典形式で、筒井先生によるさまざまなエッセイ、論文、ショートショート、漫画などがごった煮的に収録されている画期的な内容になっていた。
どれもこれも面白くて、僕は爆笑しながら読み進めた記憶があるが、この項目で、笑いが止まった。
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いやぁ、何という恐さ。
読み終えて、身体じゅうが戦慄したことを、今でも思い出す。その頃僕はまだ子供だったから、泣きたいぐらい怖かった。それほどまでに衝撃的な内容だった。
わずか4ページにすぎないショートショートだったのだけれど、この本の中で、一番印象に残る項目になった。
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その後、この「駝鳥」は、「笑うな」というショートショート集に掲載された。
この作品集には、粒ぞろいの傑作ショートショートが収められているが、その中でも、異質の輝きを持つ作品だった。ただ、文庫本収録まで何度も何度も読み返していたこともあり、ある程度冷静に読めるようにはなっていた。
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しかし。今回の絵本で、再度僕は戦慄した。
かつて、こんな怖い絵本があっただろうか。絵のデザインそのものが恐ろしい本なら他にもあると思うけれど、この絵本はそうではない。「駝鳥」の作品世界を見事に表現し、その恐ろしさを増幅させる、絵の力が凄まじいのである。
日本画、特に駝鳥絵で評判が高い福井江太郎との、まさに奇跡のコラボレーション。完璧な物語に、究極の彩りを添えた、圧巻の1冊だ。

*1:これは、出版社Webサイトだけの予約特典だと思っていたので、ゲットできてとても嬉しかった。


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