本当に涼しくなってきた。
季節は、もう、すっかり秋。絶好のランニングシーズンになったので、時間がとれると、つい走りだしたくなってしまうのだけれど、秋は走るためだけの季節だけじゃない。
そう、「読書の秋」でもあるのだ。だから、たまには、大好きなSFでもじっくり楽しみたい。読んでみたい。最近、そんな思いがふつふつとこみ上げてきている。
そんなことを唐突に思ったのは、遂にこのシリーズが完結したから。
日本SF短編50。
日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジーということで、今年の2月から隔月で刊行され、遂に10月に完結した。
最終巻の5巻が出てから、半月以上経っているため、ちょっと紹介の機を逸した感もあるけれど、覚書として残しておきたい。
収録の50作について、各巻毎の掲載作はWeb上至る所に転がっていたが、まとまったものが見当たらなかったので、50年分を通したリストを作成してみた。
1963年 | 墓碑銘二〇〇七年 | 光瀬龍 |
1964年 | 退魔戦記 | 豊田有恒 |
1965年 | ハイウェイ惑星 | 石原藤夫 |
1966年 | 魔法つかいの夏 | 石川喬司 |
1967年 | 鍵 | 星新一 |
1968年 | 過去への電話 | 福島正実 |
1969年 | OH!WHENTHEMARTIANSGOMARCHIN'IN | 野田昌宏 |
1970年 | 大いなる正午 | 荒巻義雄 |
1971年 | およね平吉時穴道行 | 半村良 |
1972年 | おれに関する噂 | 筒井康隆 |
1973年 | メシメリ街道 | 山野浩一 |
1974年 | 名残の雪 | 眉村卓 |
1975年 | 折紙宇宙船の伝説 | 矢野徹 |
1976年 | ゴルディアスの結び目 | 小松左京 |
1977年 | 大正三年十一月十六日 | 横田順彌 |
1978年 | ねこひきのオルオラネ | 夢枕獏 |
1979年 | 妖精が舞う | 神林長平 |
1980年 | 百光年ハネムーン | 梶尾真治 |
1981年 | ネプチューン | 新井素子 |
1982年 | アルザスの天使猫 | 大原まり子 |
1983年 | 交差点の恋人 | 山田正紀 |
1984年 | 戦場の夜想曲(ノクターン) | 田中芳樹 |
1985年 | 滅びの風 | 栗本薫 |
1986年 | 火星甲殻団 | 川又千秋 |
1987年 | 見果てぬ風 | 中井紀夫 |
1988年 | 黄昏郷 | 野阿梓 |
1989年 | 引綱軽便鉄道 | 椎名誠 |
1990年 | ゆっくりと南へ | 草上仁 |
1991年 | 星殺し | 谷甲州 |
1992年 | 夢の樹が接げたなら | 森岡浩之 |
1993年 | くるぐる使い | 大槻ケンヂ |
1994年 | 朽ちてゆくまで | 宮部みゆき |
1995年 | 操作手(マニピュレーター) | 篠田節子 |
1996年 | 計算の季節 | 藤田雅矢 |
1997年 | 永遠の森 | 菅浩江 |
1998年 | 海を見る人 | 小林泰三 |
1999年 | 螺旋文書 | 牧野修 |
2000年 | 嘔吐した宇宙飛行士 | 田中啓文 |
2001年 | 星に願いを | 藤崎慎吾 |
2002年 | かめさん | 北野勇作 |
2003年 | 重力の使命 | 林譲治 |
2004年 | 日本改暦事情 | 冲方丁 |
2005年 | ヴェネツィアの恋人 | 高野史緒 |
2006年 | 魚舟・獣舟 | 上田早夕里 |
2007年 | TheIndifferenceEngine | 伊藤計劃 |
2008年 | 白鳥熱の朝に | 小川一水 |
2009年 | 自生の夢 | 飛浩隆 |
2010年 | オルダーセンの世界 | 山本弘 |
2011年 | 人間の王MostBeautifulProgram | 宮内悠介 |
2012年 | きみに読む物語 | 瀬名秀明 |
何しろ、クラブ創立から現在までの50年間のベスト短篇を、1年1作品50作家という縛りを設けているのが凄い。錚々たる作家陣、あまたの名作がある中で、1人1作に絞っているため、作家と収録年の調整は難儀を極めたろう。編纂委員の方には敬意を表したい。
通して読めば、日本SFが歩んできた50年を肌で感じることができることは間違いない。僕は、60年代〜80年代あたりの短編はかなり読んでいたが、90年代に至ると未読のものが多くなり、2000年以降の短編は、未読ばかり。
秋の夜長のうちに、一通り読んでおきたいなぁ、と思っている。
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