インターネットの急速な普及によって、今でこそ、誰でも彼でも簡単に
情報入手や情報発信ができるようになった。
僕も、はてなダイアリーのおかげでブログの楽しさを満喫しているし、
それとは別に、拙いながら自分の独自ホームページも持っている。
本当にいい時代になったものだ。
しかし、僕に情報発信の楽しさを最初に教えてくれたのは、インターネット
ではない。他ならぬニフティサーブ（現＠NIFTY）のパソコン通信だ。
きっかけは、FHRACEというパソ通（こういう略し方も死語になってしまった）内の
競馬関係フォーラム（会議室）での発言だった。
あれから、何年経つのだろう。
インターネットなど、まだその存在を知られていない時代だった。
そのころのニフティサーブには、趣味や嗜好別に、それこそ星の数ほど
フォーラムがあり、そこには素晴らしい情報が溢れていた。
僕はその、数限りないフォーラムの魅力に酔った。
今と違って、電話料金が定額制ではなかったし、ましてや通信速度も
桁違いに遅い。確か、モデムの速度が14.4Kというような時代だったと思う。
僕はテレホーダイ（これも懐かしいなぁ）が始まる夜１１時まで待って、
毎日の寝不足を抱えながら、それこそ宝の山のようなフォーラムの
情報やコミュニケーションを楽しんだのだ。
情報交流の魅力にとりつかれてしまうと、見ているだけの立場から、
参加したくなってくるのは、自然の流れだ。
といっても、僕はその一歩を踏み出すまでに、かなり勇気を要した
ことを覚えている。
「変なことを書いて笑われたらどうしよう」
「誰かにレスをつけてもらった時、うまい返事ができるだろうか」
「もし誰にも相手にされなかったら悲しい」
など、さまざまな思いが渦巻いて、なかなか踏み切れなかったのだ。
しかし僕は何とかFHRACEでのデビューを果たした。
大好きな競馬の話題なら、こんな僕でも何とかついていけると思ったし、
何より、そのフォーラムの雰囲気がとてもよかったからだ。
最初は不安で手探りの発言をしていたけれど、常連の方々による温かい
レスに支えられ、いつしか僕も発言に慣れることができた。
自分から発言するだけではなく、他の人たちが作っていたツリーにも
進んで入っていくことができるようになってきた。
本当に楽しい時代だった。
いつまでも続けていきたかったのだけれど、仕事が忙しくなったり、
引っ越しをしたりして、いつしか僕はパソコン通信の世界から離れて
しまうことになった。
そして、インターネットの爆発的な普及。
いったんインターネットに慣れてしまうと、パソコン通信の独特な
接続方式が面倒になり、使っていた自動巡回ソフト（NIFTERM）の
使用期限が切れてしまったこともあって、僕は完全にパソコン通信の
世界を去ってしまっていた。
だから、昔、競馬フォーラムでお世話になった友人からメールを
もらった時は本当に懐かしかったし、かつ、こんな僕を見捨てずに
いてくれたことに、本当に感謝した。
友人は、さまざまな話題を僕に届けてくれ、僕は久しぶりの懐かしい
話題に酔ったのだけれど、ひとつだけ、とてもショッキングな情報を
受け取ることになったのである。
何年かぶりに訪れてみたパソコン通信のフォーラムにも、その情報は
しっかりと掲載されていた。
転載不可とのことなので、文意だけを書くと、
- パソコン通信の競馬フォーラム（FHRACE）2005年 2月を持って終了する
- 以降は、別の競馬関連のフォーラムと統合してWEB 化される
- 会議室は2月 7日（月）にリードオンリーとなり、2月28日（月）で終わる
ということであった。
そしてこれは、単に、全体フォーラムの中で競馬フォーラムだけが
閉鎖されるというローカルな現象ではなかった。
フォーラム全体のお知らせを見ると、以下のように掲載されていたからだ。
これまでWeb 上とワープロ・パソコン通信上の両方で展開してきた
各フォーラムにつきましては、2005年 3月中にWeb 上での展開へ
一本化いたします。
現在、ワープロ・パソコン通信上にあるフォーラムの今後のスケ
ジュールにつきましては、各フォーラムごとに異なりますので、
各フォーラムでのご案内をお待ちください。
http://forum.nifty.com/help/tty.htm でも適宜ご案内します。
最近は、ほとんど参加できていなかったのだから、こんな僕には語る
資格がないのかもしれない。
でも、あの頃、僕の生活で大きな部分を占めていたフォーラムが、
パソコン通信がなくなってしまうというのは、とても、とても悲しい。
さよなら、ニフティサーブ。さよなら、パソコン通信。
本当に本当に楽しかったよ。
